アニメ『進撃の巨人』のリヴァイ役・神谷浩史さんと、エルヴィン役・小野大輔さんがパーソナリティを務めているラジオ『神谷浩史・小野大輔のDearGirl〜Stories〜』。
番組で語られた、第53話「完全試合」に関するアフレコエピソードを文字起こししました。
「完全試合」アフレコエピソード
2019年6月15日放送・DGS第636話にて。
神谷浩史さん(以下、神谷。敬称略)
小野大輔さん(以下、小野。敬称略)
※基本的に原文に忠実に文字起こししていますが、相槌や「まぁ」等の言い癖は適宜省略しています。
神谷
小野さん的には非常に感慨深い一話だったんじゃないですか。
小野
そうですね。ずっと知りたかったエルヴィンが生きる意味っていうのがこのお話の中に全部入っていて。
木箱に座ってリヴァイとエルヴィンの会話があるシーンで、一人称が俺になって、一人の男になるんですよね。
たぶん僕も思うんですけど、リヴァイにだったら言える、リヴァイにしか言えないんだけれども。自分はやっぱり知りたいと。
その知りたいっていう知識欲、あとお父さんの仇っていうのもあるんでしょうけど、そのためにここまで兵を率いて団長として生きてきたんだなというのがあのシーンに全部入っていて、演じていて自分もすごく嬉しかったんですよね。あぁやっと全部知れたって、エルヴィンのことが。
神谷
いやもう僕はもうものすげえこええなと思って。エルヴィンがね、小野君が言ったみたいに、自分の知識欲に突き動かされてあそこまできてるじゃない?
上に立つ人間が、台詞の中にもあったけど、兵士に嘘ついて士気を挙げて死の特攻をさせる、それを今までもずーーーーっとやってきて屍の上に自分は立っているんだって言っていて、おそろしいなと思って。
上に立つ人間ってやっぱそうなんだろうと思うのよ、大なり小なり。僕もこういう風に言った方が物事うまくいくんだろうなと思いながらやってることって結構あるのよ。で、自分の気持ちとは相反するところに言葉を使ったりとか。
僕の立場でもあるわけだから、そりゃエルヴィンみたいな、完全にちょっとでも油断したら死ぬっていう状況の中で人間の命を預かって、でもやっぱりその後ろにいるもっと大勢の命を生かすためにどう取捨選択していくのか、ということを常に考え続けてきた人間じゃない。
それに対してやっぱり懺悔があるっていうのすげえ人間くさいけどこええなと。
小野
こわいですね。つまりそれを全部捨てて、人間性を捨てないと巨人には対抗できないと前の話数で言っていたんですけど、それすらも自分を欺いていたというところにいっていて。
実はやっぱりあの、人だったし一人の男だった。これまで死んでいった仲間たちが見えるかって問いかけもするんですけど、だから自分が本当にひどいことをしているというか、人間として間違っていたことをわかりながら進んでいたんですよね。
神谷
いやもう完全にサイコパスだもん、超こわいよ。
小野
そうですね、観方を変えれば。
神谷
どこにその自我があるのかというのがはかりかねてしまって、超怖かったです、見てて。
小野
だからこそ団長だけどずっと一人だったと思うんです。でもリヴァイにはあれが最期言えたってことですね。
神谷
いや、そりゃだってそんなこと言えるわけないじゃん。
小野
絶対言えない。
神谷
ちょっとでも誰かに言ったら、「うわぁあいつやっぱりそういう良心の呵責とかあるんだ」みたいな。
責められたら終わりだからね。自信をもって、「すべての責任は自分が取る」っていう勢いで鼓舞して特攻させなきゃいけないんだもんね。
小野
あれを言った瞬間に、リヴァイが「おれが仕留める」って言ってくれて、ぼく、いやエルヴィン笑うんですよね。あぁ、あのシーンがすべてだなぁと思って。あぁやっと楽になったというか。
神谷
そうだね、彼もしんどかったんだろうね。やっと楽になれるというか。
小野
ここで死んで全部をリヴァイに託すっていうところにいけたんで、彼にとっては本望だったと思うんですよね。
神谷
いやぁ怖いシーンでしたよ。だから僕テストやって本番のテイクももしかしたらそうだったかもしれないんですけど、やっぱりそんな人間の背中なんか押したことねえし、押せないからどうしたらいいかわかんなくって。
結構強めの言葉で、オンエア見たときも結構強めの言葉だったとは思うけれども、あれ以上に背中を押す?音にしてたのね。
でもそれだと弱く聞こえるから、もっと覚悟が決まって背中を押してくださいっていうことをディレクションされて。
若干おさえて、言葉の強さとしての力というよりは気持ちを押し出す感じにはしたんだけど、加減がわかんなくて。
小野
そうですね、やっぱりリヴァイが部下じゃなくて、もちろんただの友達でもなくて、戦友だったんだろうなと思うんですよ。
神谷
僕はリヴァイとエルヴィンの関係位置っていうのがよくわかんなくなるなぁと思って。
小野
(笑)